ラ・モントルの手記

自由に、繋いで、美化しよう!

私が大好きだった5人組の話

 
水は方円の器に随う
水は四角の器に入れると四角に形を変え、丸い器に入れると丸に形を変える。人も同じように、良くも悪くも周りの影響を受けて変化していくものだということのたとえ。
 
先日、ワンダイレクションの末っ子ハリーがデビューより所属していたモデスト・マネージメントを離れ、新たな事務所と契約を交わしたことが発表された。タイミングが微妙というか絶妙すぎて、一夜明けるともう絶望を通り越して逆に喜ばしいことなんじゃないかとか思い始めてきた。新しいエージェントはアメリカの音楽業界じゃ超のつく有名人で、アーティスト達からもとても評判の良いおじちゃまだそう。ハリーを現在までお世話していたモデストは「うちのハリーをよろしくね!私たちが今度ロスに行く時は皆でワインでも飲みながらじっくり語り合いましょう」などという呑気なコメントをしている。
 
…これで良いのだろうか。メンバーがただの1人でも事務所を離れるならばそれは『活動休止』ではなく事実上の『解散』ではないのか。もちろんソロ活動が全てイコール脱退へと結びつくわけではない。だが今まで散々なK-POPの従属契約を見てきた私はこういった発表を公式から受けた場合、覚悟しておいたほうがいいということを東方神起の一件で学んでいる。グループをいったん離れることは新たな可能性を信じている彼が選んだひとつの「道」であると、きっとファンの誰もがそう信じている。私だって応援したい気持ちはある。彼の言葉を聞く限りだと戻るつもりはあるようだし、他のメンバーもちょっとの間休憩するだけだから心配いらない、と語っている。だけど「もしかすると」を捨てきれない人間がいることもわかってほしい。どうして素直に受け入れられないかというと、こっちの方が思いのほか性に合っていたとか、自由に歌えることにまた別の楽しさを見出せるようになったとか、そんな理由からいつどこでどのように風向きが変わってしまうかわからないからだ。
 
事実、彼らは「歌うことが何よりも大好き」で集まったグループである。幼い頃から習っていたダンスで勝ち進んだわけでも、レコード会社に曲を書いて持ち込んだわけでもない。自分の信じてきた歌で勝負したい、皆に聞いてほしいんだと必死な少年達がある一人の審査員の心を動かした結果、生まれた奇跡のグループなのである。私はこのままだと彼が最終的に出した結論がファンの望むその答えでなくとも、頑張れと笑顔で送り出してしまいそうで嫌なのだ。彼の夢はきっと「歌い続ける」ことだろうし、そうすると自分なりの音楽を追求するようになるのはそう遠くない未来だろう。もうこうなってしまった以上どうすることもできないので、ひっそり見守ろうととりあえず曲を聞いている。ラブラブのベタベタ甘甘ソングなのに、どうして泣きそうになっているのかはわからない。
 
 

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「スポットライトが当たらないところでも普通の生活を送りたい。僕は普通の、22歳になりたい」
私が一番好きだったメンバーのゼインは、こう言い残してグループを去った。2015年3月のことだった。コンサートや番組出演も控えている最中、まさかの脱退宣言だった。テレビから流れてきた突然の報道に私は食べていたホットドッグを落とすというジュンス顔負けの反応をしてみせ、一緒にテレビを見ていた友人は飲んでいたお茶を盛大にぶちまけた。その後は彼らを追っかけてイギリスへ飛んだ知人に生存確認のラインを送りまくる一方、高校時代のクラスメイトに半泣きで電話をかけたりなどしていた。一時期は海外アカウントの方もその話題ばかりで、ファ○クという文字がホームを席巻していた。だけどそれも少しの間で、4人のワンダイレクションが活躍の場を広げていくうちに自然とその寂しさは埋まっていった。私自身もゼインの脱退した理由が理由であっただけに「もういいや、それどころじゃないし」と今までのそれは何だったんだというくらいにスッパリ諦めることができていた。
 
というのもゼインがいなくなってから1年、トンデモナイことばかりが起きていた。ルイは長年付き合っていた超絶美人モデルと破局、結婚もしていないのに友人の友人と関係を結び、なんと今年の1月にめでたくパパとなった。エレノアはファン公認の「ルイの彼女」で、もう放っておけばそのうち結婚するだろうと皆が思っていただけに、別れたと聞いた時は開いた口が塞がらなかった。
 
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ルイの思考回路は凡人である私にはよくわからないが、誰が見てもお似合いのカップルだっただけに本当に惜しい。ルイのファンはよくエレノアの格好を参考にしたり、髪型を真似たりしていたらしい。同性から愛される人というのはやはり魅力的である。今を煌めくトップアイドルの彼女が、ファンから好かれるなど賞賛ものではないか。お互いの両親とも顔合わせは済ませており、将来を約束された仲だったという。そのため別れてからもそれなりに交流はあるらしく、今回の一件をエレノアはルイ本人ではなくルイの母親から聞いてショックを受けたとか。もういやだ切ない。
 
リアムはリアムでどっかの気の強そうな子と破局したらしいし、当のゼインも婚約していたペリーとまさかの破局、結婚には至らなかった。婚約イコール結婚と考えていた身としては彼の選択は「有りか無しかで言ったら無し」なので、これにはちょっと引いたというかガッカリしてしまった。カルチャーショックと言い聞かせるにもそろそろ限界がきている。
 
末っ子のハリーは殺害予告を受けるにとどまらず、ステージ上で盛大にずっこけるやらファンの投げた正体不明の固形物が目を直撃するやらで文字通り散々な1年だった。唯一当たり障りのない記事ばかりで和ませてくれたのは、平和主義のナイルである。遠距離恋愛?と報道はあるにはあったけれど、あまり詳しくは突っ込まれずに終わった。何故かナイルのネタは他のメンバーと比べると過激さに欠けるものが多い。クソ真面目と自負する性格のせいなのか、それともびっくりするくらい童顔なせいなのか。ナイルと子犬を隣に並ばせると10人中3人はどちらが子犬かわからないという。そんなわけない。しかしそのくらいきゅるるん☆とした瞳をしているのである。声が好きという理由でゼイン推しだった私だが、顔と性格に至っては他の誰でもなくナイルがぶっちぎりのトップである。
 
もう半年も前のことになるが、ホテルからコンサート会場までの移動の際にファンとの記念撮影に応じていたナイルが突然激怒したというニュースが流れた。普段から温厚でのほほんとしているだけに何故?!と驚いたが、どうやらパパラッチから「邪魔、どっか行け」と押しのけられ罵倒されたファンを目撃し、それを庇った故の発言だったそう。ツイッターでも「僕らのファンを貶すような真似は二度としないでくれ」と一喝。もうナイルちゃん超好き。結婚して。一人だけタトゥーをいれていないとか、そういうところもいい。脱ぐと真っ白な腕がまぶしい。(歓喜)
 
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ワンダイレクションの魅力と言うと歌声もそうだが、各々のそれを最大限に生かすべく制作された耳馴染みの良いメロディーにある。これは海外のボーイズグループ全てに当てはまることだが、日本や韓国等アジア圏のアイドルのコンサートとは違いペンライトを使わずに進行することが前提にあるため、手拍子を打ちやすいテンポの曲が非常に多い。(よくコンサート中に撮ったと思われるキラキラした写真が流れてくるが、9割方が携帯のライトもしくは写真撮影の際のフラッシュである)4人で発表した最新曲「History」も例にもれず全体的にゆったりとした仕上がりになっていて、初めて聞く人でもスッと入っていける曲だなという印象を受けた。良い意味で初心者向けで、リズム音痴でもノリやすい。おまけにコーラスも多く取り入れている。人がテンポを知覚するためには「手拍子が打ちやすい=楽曲の拍を刻みやすいかどうかに起因する」といつか記事で読んだことがある。親子3世代で楽しめるコンサートの秘訣は、きっとここにあるのだろうと思う。

 
だがこの「皆から愛される曲」に対するジレンマを抱えたまま歌手活動を続け、最終的に脱退という道を選んだメンバーがいた。
ゼイン「自分の発言が通ったことはなかった。求められたことをただこなすだけ。彼ら(プロデューサー)の望む通りに歌わないと何十回もレコーディングを繰り返さなきゃいけなかった」
ゼイン「100%支持できる音楽じゃなかった。自分が幸せだと思わないことを幸せだと思えと言われて過ごしていた」
などなど。こうもハッキリと自分らしさを押し殺して生きていた、辛かったなどと言われると、彼にとっての脱退は歌う楽しみを取り戻すことのできる最初で最後のチャンス(?)だったのかもしれないと思うようになった。最近のインタビューでは「初めから辞めることばかり考えていた」とも語っている。ファンからすると5人のワンダイレクションを美しい思い出としてしまっておきたかっただけに、このコメントには批判が相次いだ。デビューするためだからしょうがなかったと言われたらそれまでだが、私は彼の声が好きだったし、ワンダイレクション5人の歌が大好きだった。日本人からすると脱退した側からの「暴露」は元のグループが機能しているまでは暗黙の了解で話してはいけない、みたいなところがあるが、海外でのバンドやグループではこういうことは頻繁にある。これもとりあえずはカルチャーショックという括りに置いておこう。
 
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私はただ彼らの声が好きで、曲が好きであったから「ワンダイレクション」を聞いていたというファンの一人にすぎない。来日しても空港までお迎えには行かないし、ホテルの特定に時間を割いたりしない。朝から並んでグッズを買い占めることもなければ、チケット争奪戦にはちゃんと正攻法で挑む。だけどCDは買っている。どこにでもいる普通のファンである。そんな私でも活動休止はとても寂しい。これからどこに向かうのか、誰にもわからない。最高の笑顔と最高の歌で世界中に花を咲かせたあの頃の彼らはもういない。5人全員が、皆で同じ方向へと進むことを望まなかった。それを咎めることはファンにはできない。だからこそ「自分のしたい音楽」をグループが活動休止を発表する前に、ハリーにやらせてあげるべきじゃなかったのかと思ってしまう。もう5人の再集結は確率的に言うと限りなくゼロに近い。だけどあの声がまた4人と重なることをどこかで待っている自分がいる。ゼインが脱退してから発表した曲はもちろん全部聞いたけれどやっぱりどこかに面影を探してしまう。この高音パート、もしかしたら歌ってたかもしれないんだなあ…とか。
 
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最近はほとんどこれ(↓)ばかり聞いている。個人的にゼインは初期のビジュアルが神だと思っているので、直視すると死んでしまう。ナイルちゃんは安定の可愛さ。これを聞くと良い夢が見れます。本当です!!!!ぜひ!!!!(助けて!!今日も終わり方がわからない!!!)